表計算ソフトの二大巨頭、Microsoft ExcelとGoogle スプレッドシート。どちらもビジネスに不可欠なツールですが、「結局、何がどう違うの?」「スプレッドシートだとExcelのあの機能はあるの?」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、それぞれの特徴や操作、関数の違いを比較し、皆さんの疑問を解消します!
まずは、Microsoft ExcelとGoogle スプレッドシートがそれぞれどのようなツールなのか、その基本的な特性を比較してみましょう。
比較項目 | Microsoft Excel | Google スプレッドシート |
価格 | 有料(Microsoft 365サブスクリプションまたは永続ライセンス) | 基本無料(Googleアカウントがあれば利用可能、一部有料プランあり) |
利用形態 | デスクトップインストール型が主(Web版、モバイル版も提供) | クラウド型(Webブラウザからアクセス、インストール不要、モバイルアプリも提供) |
自動保存 | 設定により自動保存(既定は10分ごと) | 編集内容が逐一自動保存される |
共同作業 | Web版でリアルタイム共同編集が可能だが、デスクトップ版ではファイル共有の手間がある | リアルタイム共同編集が非常に強力。URL共有で簡単 |
処理速度 | 大量のデータや複雑な計算に強い | 大量のデータで処理速度が若干遅くなる場合がある |
オフライン利用 | デスクトップ版はオフラインでフル機能利用可能 | 基本的にオンライン環境が必要(一部オフライン機能あり) |
データ量・専門性 | 大量データ、高度な統計分析、財務モデリングなど専門的な用途に適している | 比較的少量のデータ、共同作業、手軽なデータ管理に適している |
連携 | Microsoft 365、各Office製品(Word, PowerPoint, Outlookなど)との連携 | Google Workspace製品(Googleフォーム, Googleドライブ, Googleドキュメントなど)との連携 |
Excelはデスクトップインストール型がメインで高機能、スプレッドシートはクラウド型で共同作業に強みがあることが分かります。
連携について詳しく知る>>『Google Workspace』?『Microsoft 365』?あなたのビジネスに最適なグループウェアは
日々の業務でよく使う機能のボタンやメニューがどこにあるのかは、操作効率に直結します。ここでは、それぞれのツールのインターフェースと主要な機能の場所を比較します。
Excelの操作画面は、Microsoft Office製品共通の「リボン」と呼ばれるタブ形式のメニューが特徴です。「ホーム」「挿入」「データ」「開発」などのタブがあり、それぞれのタブの中に機能がアイコンやボタンとしてグループ化されています。
例えば、文字の書式設定やセルの配置は「ホーム」タブに、グラフや図形を挿入するボタンは「挿入」タブにあります。
機能が多いため最初は戸惑うかもしれませんが、多くの機能が一箇所に集約されているため、慣れてしまえば効率的に操作できるようになります。
Google スプレッドシートのインターフェースは、Webブラウザ上で動作することを前提とした、シンプルで直感的なデザインが特徴です。
Excelの「リボン」とは異なり、上部に「ファイル」「編集」「表示形式」「挿入」などのテキストベースのメニューバーと、その下にアイコン形式のツールバーが配置されています。
画面スペースを最大限に活用できるよう、メニューバーやツールバー全体を非表示にしたり、再表示させたりできる点もWebアプリケーションならではの設計です。
主要な機能の場所 | Microsoft Excel | Google スプレッドシート |
文字の書式設定 | 「ホーム」タブの「フォント」グループ | ツールバーの「フォント」「フォントサイズ」「B」(太字)などのアイコン |
セルの配置 | 「ホーム」タブの「配置」グループ | ツールバーの「配置」アイコン(水平方向・垂直方向) |
グラフの挿入 | 「挿入」タブの「グラフ」グループ | 「挿入」メニュー → 「グラフ」 |
データの並べ替え・フィルター | 「データ」タブの「並べ替えとフィルター」グループ | 「データ」メニュー → 「範囲を並べ替え」または「フィルタを作成」 |
ピボットテーブル | 「挿入」タブの「テーブル」グループ | 「挿入」メニュー → 「ピボットテーブル」 |
関数の挿入 | 「数式」タブの「関数ライブラリ」グループ、または数式バーの「fx」アイコン | ツールバーの「関数」アイコン(∑)、または数式バーの「fx」アイコン |
共同編集 | 「共有」ボタン(Web版、デスクトップ版は別途設定が必要) | 右上の「共有」ボタン |
保存 | 「ファイル」メニュー → 「保存」または「名前を付けて保存」 | 自動保存(手動保存の必要なし) |
ExcelとGoogle スプレッドシートは、どちらもデータ処理と分析に不可欠な多くの関数をサポートしています。しかし、それぞれ独自の強みを持つ関数や、利用できない関数も存在します。
日々の業務でよく使う基本的な関数は、ほとんどが両方のツールで共通して利用できます。
関数カテゴリ | 共通して利用できる関数例 |
基本的な計算 | SUM, AVERAGE, MAX, MIN, COUNT, ROUND |
条件分岐・論理 | IF, AND, OR, NOT, IFS, SWITCH |
日付・時刻 | TODAY, NOW, DATE, TIME, DATEDIF |
文字列操作 | LEN, LEFT, RIGHT, MID, CONCATENATE |
検索・参照 | VLOOKUP, HLOOKUP, INDEX, MATCH |
条件付き集計 | SUMIF, SUMIFS, COUNTIF, COUNTIFS, AVERAGEIF, AVERAGEIFS |
統計 | STDEV, VAR, MEDIAN, MODE |
行列操作 | TRANSPOSE, OFFSET |
Excelには、長年の歴史と高機能化の過程で生まれた、Google スプレッドシートには直接的な同等関数が存在しないものもあります。これらは主に、より専門的・高度な分析機能や、Microsoft独自の連携機能に関連しています。
Excelの関数/機能 | Google スプレッドシートでの代替または補足 | 備考 |
XLOOKUP関数 | VLOOKUP, INDEX-MATCHなどで代替 | Excel 2019以降で導入された強力な検索関数。従来の検索関数より柔軟性が高い。 |
マクロ | Google Apps Script(JavaScriptベース)でカスタムスクリプトを作成 | Excelの高度な自動化、カスタム機能の追加に利用されるプログラミング言語。Google スプレッドシートではApps Scriptで同様の自動化が可能です。 |
高度な分析ツール(分析ツールアドイン) | アドオンのインストール、またはApps Scriptによるカスタムスクリプトで代替 | 統計分析(t-検定、ANOVAなど)や最適化ソルバーなど、専門的なデータ分析機能。 |
動的配列関数の一部(TEXTSPLIT, TAKE, DROPなど) | ARRAYFORMULAや他の関数との組み合わせで同様の処理が可能 | Excel 365の比較的新しい関数。Google スプレッドシートにも動的配列関数はありますが、一部の関数はExcelに限定されます。 |
CUBE関数群 | (直接的な同等関数なし) | OLAPキューブデータとの連携など、ビジネスインテリジェンス(BI)に特化した関数。 |
Power Query / Power Pivot | Googleデータポータル(Looker Studio)やBigQuery連携で一部代替 | Excelの強力なデータ整形・統合・分析機能。Google スプレッドシートでは、より大規模なデータ分析にはGoogle Cloud Platformのツールが適しています。 |
Google スプレッドシートは、そのクラウドベースの特性を最大限に活かした、独自の強力な関数を提供しています。これらは特に共同作業やWebサービスとの連携において真価を発揮します。
関数名 | 機能 | 用途 |
IMPORTRANGE関数 | 他のスプレッドシートからデータを直接取得できる | 複数のファイルに分散したデータを統合、異なる部署間でリアルタイムにデータを共有する際に非常に強力。 |
GOOGLETRANSLATE関数 | セル内のテキストをGoogle翻訳の機能を使って翻訳する | 多言語対応のデータ作成、簡易的な翻訳作業に便利。 |
IMAGE関数 | 指定したURLから画像をセル内に挿入する | 画像リストの作成、Web上の画像を簡単にシートに表示。 |
GOOGLEFINANCE関数 | Google Financeから株価、為替レートなどの金融データを取得する | リアルタイムの市場データを用いた分析、ポートフォリオ管理などに活用。 |
IMPORTDATA, IMPORTFEED, IMPORTHTML, IMPORTXML関数 | Web上のCSV、RSS、HTMLテーブル、XMLデータなどを直接スプレッドシートに取り込む | Webスクレイピング、公開データの取得、ニュースフィードの監視などに利用。 |
日本語のドキュメント作成においては、「縦書き」の可否も重要なポイントになることがあります。
Excelでセル内の文字を縦書きにするのはとても簡単です。
縦書きにしたいセルを選んで、「ホーム」タブの「配置」グループにある「方向▼」アイコンをクリックし、「縦書き」を選択するだけ。これで、選択したセル内の文字が縦に表示されます。
Excelの縦書き機能は、文字が縦に並ぶだけでなく、行の高さも自動で調整してくれるため、日本語の縦書き表現が自然で美しく見えるのが特長です。
Google スプレッドシートには、Excelのような「縦書き」という直接的なオプションは残念ながらありません。その代わりに、以下の方法でセル内のテキストを縦方向に表示させることができます。
テキストの回転: 縦書きにしたいセルを選び、「表示形式」→「テキストの回転」から「縦」を選択します。文字が1文字ずつ縦方向に回転して並びます。
1文字ずつの改行: 日本語の自然な縦書きに近づけたい場合は、セル内で1文字ごとに手動で改行(Shift
+Enter
)を挿入し、擬似的に縦書きを表現する方法も有効です。
数字やアルファベットは縦書きにすると横向きになってしまうため、必要に応じて「左へ90度」回転させるなどの調整が必要になる場合があります。
Excelに比べると、Google スプレッドシートでの自然な縦書き表現は少し手間がかかることがあります。
Microsoft ExcelとGoogle スプレッドシートは、どちらも強力な表計算ソフトであり、それぞれ異なる強みを持っています。
「どちらが優れている」という単純な答えはなく、あなたのビジネスの具体的なニーズと利用業務によって最適な選択肢が異なります。
DX学校広島中央おりづる校としては、以下のように推奨します。
大量のデータを扱う、または非常に複雑な計算や高度なデータ分析(マクロ、VBA、Python統合を含む)を行う必要がある場合。
厳密なレイアウトや印刷品質が求められるドキュメントを作成する場合、日本語の縦書き表現を頻繁に利用する場合。
オフラインでの作業が中心となる場合や、デスクトップアプリケーションの安定性と処理速度を重視する場合。
Microsoft Officeの各種アプリケーション(Word, PowerPoint, Outlookなど)やMicrosoft365との連携を重視する場合。
チームでのリアルタイム共同作業が頻繁に発生し、ファイルの共有やバージョン管理の手間を省きたい場合。
初期費用を抑えたい個人事業主や中小企業、またはソフトウェアのインストールや管理の手間を避けたい場合。
インターネット環境があればどこからでも、どのデバイスからでも手軽にデータにアクセスし、編集したい場合。
Googleフォームからのデータ収集や、他のGoogle Workspaceアプリケーションとのシームレスな連携を重視する場合。
それぞれのツールに異なる強みがあるため、業務内容や目的に合わせて使い分けることが効率的です。
例えば、「社内の日報やプロジェクト進捗などの情報共有にはリアルタイム性に優れたGoogleスプレッドシートを使い、取引先とのデータ共有や複雑な帳票作成には互換性の高いExcelを活用する」といった使い分けが考えられます。
今回の記事では、ExcelとGoogle スプレッドシートの違いを、機能、操作、関数の視点から比較しました。どちらのツールも素晴らしい機能を持っていますが、ビジネスの「目的」や日々の業務での「使い方」によって最適な選択は変わってきます。
最適なツールを選ぶことは、業務効率化の第一歩です!
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