【AI活用事例】Adobe ExpressとGeminiで作る!「AIと働く!ワークショップ」チラシ制作の裏側・全工程レポート

今回は先日告知を開始した「AIと働く!中小企業のための未来創造DX実践ワークショップ」(以下「AIと働く!ワークショップ」)、このチラシが出来上がるまでの「制作レポート」をご紹介します。

完成したチラシだけを見るとスマートに見えるかもしれませんが……実は、裏側ではAIとあーでもない、こーでもないと相談しながらの地道な作業がありました。

「AIを使ってるなら一発でしょ?」と思われがちですが、実際はどうなのか。 制作の裏側を公開するのはちょっと恥ずかしいですが、ありのままのリアルなAI活用の実践現場レポートをお届けします!

 

1. 企画出し:まずはAIに「壁打ち」相談

まずは今回の企画内容を丸ごとGoogleの生成AI「Gemini(ジェミニ)」に投げました。私がマーケティングサポート用にカスタマイズしている頼れる相談相手の「Gem(ジェム)」です。

>「Gem」について知る
AIで中小企業を強くする!Gemini Advancedと独自AI「Gems」の賢い使い方(知っておきたいリスクも網羅)

私: 「この企画をPRしたいんだけど、どんなチラシがいいと思う?」

Gemini: 「一般的にITやデジタルのセミナーだと青色の誠実なイメージでお堅い印象になりがちです。でも、今回のセミナーは『参加者に寄り添う』ことがテーマなのでオレンジや黄色のような親しみを感じる色にすると良いですよ」

私:「なるほど!じゃあ、チラシの全体の構成も考えて」

Geminiの提案:「『2人目は参加費無料!』をチラシの一番上に配置しましょう。キャッチコピーはこうしましょう。(などの具体的な構成の提案)」

AIに聞くまでは「DX=近未来」という連想で、青や紫のサイバーなデザインにしようとしていました。 AIによる客観的なアドバイスのおかげで、「温かい色味」にするという方針を決められました。

そして何より助かったのが、情報の整理です。
チラシ制作で最も大変で、かつ大事なのは「情報の取捨選択」。 あれもこれもと詰め込みすぎると、結局どう読んだらいいか分からないデザインになってしまいます。

今回はGeminiの提案をたたき台にすることで、載せるべき情報をスムーズに絞り込めました。 「自分になかった視点」をもらいつつ、「情報の整理整頓」までしてくれる。

これこそがAIとの壁打ちの最大のメリットですね。

 

2. ツール選定:Canvaか? Adobe Expressか?

次に行ったのが、デザインツールの選定です。今回はAdobe Expressで作ることにしました。私は普段から両方使っていますが、それぞれの印象はこんな感じです。

  • Canva: 親しみやすいテンプレート。操作は直感的で、初心者向き。

  • Adobe Express: かっこいいテンプレートが多い。操作はちょっとプロ寄り。

今回はExpressに使いたいテンプレートがあったので、こちらに決定!

Adobeはデザインのプロ御用達のメーカーです。 ExpressはそのAdobeが提供する「Canvaへの対抗馬」のようなソフトです。プロ用ツールであるIllustratorに比べれば機能は制限されますが、その分、誰でも使いやすく作られています。

Expressは「Illustratorほど難しくないけれど、Canvaより少し『プロっぽい』微調整ができる……そんな、ちょうど良い立ち位置のイメージですね。

 

3. 画像生成:AI(GeminiのNanobanana)で素材を作る

企画出しの壁打ちの中で、こんなやりとりをしました。

:「イメージ画像を入れたいんだけど、どんなのがいいと思う?」

Geminiの提案 「経営者と若い社員がパソコンを見ながら笑顔で相談している写真、または明るい未来を感じさせるデジタルのイメージ画像。これをかわいい人形で再現してはどうでしょう?」

この提案を採用!さっそくGeminiで新しいチャットを作成して、Nanobananaをオンにして指示をしました。

私: 「(Geminiの提案文をコピペして)この画像を生成してください」

▼ 最初にできた画像 

Gemini_Generated_Image_hj0m0khj0m0khj0m

うーん、良いけど……経営者役のキャラクターがちょっと年齢高すぎ?
私: 「50代くらいの経営者にしてください」

▼ 修正後の画像

Gemini_Generated_Image_eech4aeech4aeech

良い感じになりました!……が、よく見てください。
時計が10時を指しているのに、窓の外が真っ暗です。ということは、これ夜の22時!? ブラック企業っぽくなってしまうので修正します(笑)

私: 「14時くらいの明るさにしてください」

▼ 再修正後の画像
Gemini_AIと働く
バッチリです! 時計も14時になり、窓の外も明るい昼下がりになりました。
これで採用です。

ここには書いていませんが、納得いく絵が出るまで各ステップで最低3回は再生成(リトライ)しています。 「AIなら一瞬」と思われがちですが、こだわると意外と時間がかかります。
(ちなみにGemini生成画像には、右下にAIの透かしマークが入ります)

実は、今回使用しているデザインツール:Adobe Express内でも画像生成はできるのですが、Adobeの生成AI(Firefly)はデータが欧米寄りなのか、どうしても「アメリカ!」という雰囲気が強くなりがちです。

今回は「日本の広島の中小企業」という身近な感じを出したかったので、日本的な親しみやすさの表現が上手いGeminiの画像生成(Nanobanana)にお願いしました。

思った通り、かわいいイメージができましたね。

 

4.デザイン作成作業:AIと人に相談

こうして、構成は「Gemini」に、レイアウトは「Adobe Express」を使って、画像素材は「Nanobanana」でチラシ作りを進めました。

制作中に行き詰まった時は、途中段階のスクリーンショットをGeminiに送り 「ここがうまくいかないんだけど、どうしたらいい?」と画像を見せてアドバイスをもらったりしました。

でも、AIにも答えられない「微妙なニュアンス」があります。 例えば、セミナータイトルの配置バランスなど……。そこで頼ったのが、DX学校広島中央おりづる校の運営元である「株式会社文華堂」の社内デザイナーさんです!

「ここ、どうしたらいいと思います?」と相談すると、人間の経験と感性に基づいた的確なアドバイスが返ってきました。修正すると、一気にデザインが引き締まる!

「大衆の情報を提案するAI」と「人間の経験則」

この両方をかけ合わせることで、より良いものができると実感しました。やはりAIはあくまで相談相手であり、人間の力がないと良いものはできないんですよね!

5.デザイン完成!

試行錯誤を重ねているうち、テンプレートの原型は跡形もなくなりました(デザインあるあるですね)。

▼ もとのテンプレート
テンプレート
▼ 完成版
AIと働く!中小企業のための未来創造DX実践ワークショップ_表
▼ 完成版をリデザイン
AIと働く!

こう並べると本当に全く原型が無くなっているのがわかりますね。
あまりの原型の無さにテンプレートを使用する意味はあるのか?と問われそうですが、テンプレートがあることで画像のサイズ感や文字の大きさ、全体のイメージなど、デザインの「とっかかり」のヒントになるのでとても助かります。

【ちょっと失敗・苦労した点】

  • サイズ間違え: 選んだテンプレートが欧米規格だと気が付きませんでした。当然A4だと思い込み、テスト印刷で初めてサイズの間違いに気づき、急いで修正することに……(涙)。(どうしようもなく、Adobe Creative Cloudのアカウントを共同作業に招いてサイズを変えてもらいました)

  • 入稿データが作れない!: 印刷用データの必須処理「文字のアウトライン化」がExpress単体ではできず苦戦。 Illustratorからデータを直接開けるのかと思いきやそうではないようで、結局「PDF保存 → Illustratorで開く → アウトライン化」という作業をしました。

 

6.Webサイト用:シチュエーションごとの微調整

今回Webサイト用に、この二人のキャラクターを使って、全6回の講義イメージ画像も作ってみました。

「同じ雰囲気で、各回の内容をイメージさせるイラストを正方形で生成してください」と指示し、「目を開けてください」「笑顔にしてください」など細かく調整をして、6回分が一通り完成!

……と思ったのですが、「2月から7月の講座なのに、窓の外の季節がずっと同じなのは違和感がある…」と気づきました。

そこで、一度生成した画像をAIに送り直して、「窓の外を2月にしてください」「3月にしてください」と月ごとの指示を追加で出しました。1度に生成できる画像が1枚なので、6か月分だと6回繰り返しの作業です。

▼ もともとの画像
Gemini_Generated_Image_fugkt1fugkt1fugk

▼ 窓の外を2月に修正
Gemini_Generated_Image_b5iyfeb5iyfeb5iy

画像一枚を作るのに再生成(リテイク)も複数回繰り返していて、地味に時間はかかっていますが、それでもこれだけバリエーション豊かに、フェルト風のキャラクターの画像をたった1日で6枚も作れるのは爆速です。 普通に撮影や発注をしていたら、1週間以上かかるものだと思います。

季節ごとの全6枚の変化はこちらで見れます!
AIと働く!ワークショップ詳細ページ(日時・内容:全6回で学ぶこと)

 

【おまけ】浮くAIサンタに困った

せっかくなのでクリスマスの日に、この子たちをホリデー仕様にすることにしました。
指示を出すチャットは、生成される内容がぶれないように、同じチャット内で指示をしています。

私: 「同じ雰囲気でクリスマスを過ごしている画像を生成してください。AIはサンタさんです」

▼ AIはサンタさんの画像
Gemini_Generated_Image_4tb0tw4tb0tw4tb0

イメージ通りの画像が生成されました!
これはぜひインスタのストーリー用に使いたいと思い、追加で指示しました。

私:縦型の画像にできますか?

▼ AIはサンタさん縦型の画像
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AIサンタさんが浮いてしまいました(泣)
再生成を繰り返しましたが、AIサンタさんは地上に立ってくれません。
位置をうまく言葉で指定ができず、どうしても修正ができないので、一旦諦めてトナカイを追加してもらいました。

私:トナカイも追加してください

▼ トナカイ追加の画像
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トナカイがちゃんと追加されていたので、できるかも?と思い、追加で指示をしてみました。

私: 「AIの立ち位置が変なので直してください。みんなで楽しそうにしてください。ホワイトボードに世界地図を書いてください」

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やっとイメージ通りの画像ができたので、これで完成です!
(よくよく見ると、AIサンタは床なのかテーブルの上なのか、よくわからない位置に立っていますね…)

クリスマス画像の生成は、AIへの指示(プロンプト)の難しさを痛感する一例になりました。

「どう指示すれば、AIが思ったように動いてくれるのか?」
これを達成できるかどうかは、AIを使う人間の「言語力」「表現力」に掛かっています。

 

まとめ:AIは「指示」で変わる

AIは何でもできるイメージがありますが、それをどう扱えるかは「人間」の指示出しがとても重要だということが、今回のレポートでは伝わったのではないかと思います。

2026年2月から6ヵ月連続開催の「AIと働く!中小企業のための未来創造DX実践ワークショップ」では、「AIへの指示の仕方」や「業務での活用方法」などを、実際の業務をイメージしながら学んでいきます。
特に第5回では今回のようなデザインの作成の話をしますよ!

AIをどう使うかには、ある程度テクニックがあります。これを知っていることで、これからAIをしっかり使っていくためのハードルはぐっと低くなるでしょう。

実践を通して、AIを使いこなすスキルを身につけませんか?
あなたのご参加をお待ちしています!

ワークショップの詳細・お申し込みはこちら
AIと働く!ワークショップ 特設ページへ

About the author

DX学校広島中央おりづる校

株式会社文華堂 DX推進支援部門として、DX学校広島中央おりづる校でIT導入診断士(講師)をしています。DX学校広島中央おりづる校は、広島地域のITリテラシー向上による地域活性化を目標として、中小企業のデジタル化・ITに関わるサポートを行っています。中小企業の現場で役立つ実践的なIT知識・ITスキルを重視することを重視し、初心者の方や苦手意識のある方もおいて行かないことを信条としています。中小企業に最適な業務システムが網羅されており、IT導入士(初級)講座でも推奨しているGoogle Workspaceを中心にサポートしています。

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