「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉を、最近よく耳にするようになりました。国の重要な取り組みの中心にもあり、私たちDX学校広島中央おりづる校も、この名前の通り重要性を強く提唱しています。
でも、「DXって具体的に何をするんだろう?」「うちの会社には関係ないかも」と感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回は、そのDXの本当の意味と、私たちDX学校が提唱する中小企業が無理なく進める「DX5つのステップ」について、わかりやすく解説していきます!
「DX」は単なるデジタル化じゃない!本当の意味を知ろう
経済産業省によると、DXとは「デジタル・トランスフォーメーション」の略語です。
これは単にITツールを導入するだけでなく、ITを使ってビジネスの形そのものを変え、売上や利益を大きく伸ばす仕組みを創ることを指します。いわば「商売替え」のような、根本的な変革なんです。
例えば、昔ながらの飲食店が、全国にレトルト食品を販売する会社になるようなイメージです。
「トランスフォーメーション」という言葉には、「元の形が跡形もなく変化する」という意味があります。幼虫がサナギを経て蝶へと生まれ変わるように、デジタルの力を借りてビジネスの形が大きく変化すること。これが「デジタル・トランスフォーメーション」です。
なぜ今、DXが必要なの? 変化する社会とビジネスの事例
私たちの身の回りでは、すでに多くのビジネスがDXによって変化を余儀なくされています。
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書店: かつて駅前の一等地にあった書店が縮小し、Amazonのようなオンライン書店や電子書籍が主流に。
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レンタルビデオ店: NetflixやAmazonプライム・ビデオなどの動画配信サービスが台頭し、店舗は激減。
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CDショップ: 音楽配信サービスによって、実店舗のCDショップは数を減らしています。
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銀行ATM: 電子マネーやQRコード決済の普及、コンビニATMの増加により、銀行のATMも減少傾向にあります。
これらの事例は、私たちのビジネスもいつ同じような危機に直面してもおかしくないことを示唆しています。たとえ今ビジネスが好調でも、将来に備えてDXを進めることが、持続的な成長には不可欠なのです。
「でも、ITツールを導入すればDXになるんじゃないの?」と思われた方もいるかもしれません。実は、手作業やアナログな業務をデジタルに置き換えるだけでは、まだDXには至っていません。経済産業省は、これを以下の3段階に分けて定義しています。
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デジタイゼーション: アナログな情報をデジタル化すること(例:紙の書類をスキャンしてデータ化)
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デジタライゼーション: 個別の業務プロセスをデジタル化すること(例:手書き伝票をタブレット入力に置き換え)
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デジタル・トランスフォーメーション(DX): デジタル技術を活用して、顧客体験やビジネスモデル、企業文化を根本的に変革すること
DX学校が提唱する「小さなIT化」5つのステップで着実に成果を!
経済産業省の定義は幅が広くて少し分かりづらいかもしれません。そこでDX学校では、中小企業が無理なくDXを進められるように、より実践的な「5つのステップ」を提唱しています。
ステップ1:アナログ業務のデジタル化
まずは、これまで手作業で行っていたアナログ業務を一つひとつデジタル化していきます。
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紙の書類を廃止し、電子データでやり取りする。
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紙の契約書やハンコを電子契約に切り替える。
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手書き伝票の入力を、Excelなどへの直接入力に移行する。
<具体例:街の食堂の場合>
お客様からの注文を、紙の伝票とボールペンではなく、スマートフォンや専用端末で入力するように変えることから始めます。
ステップ2:一つの業務のデジタル化
次に、特定の業務プロセス全体をデジタル化します。
<具体例:飲食店の注文〜提供プロセスの場合>
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フロアで注文を受けた情報をスマートフォンや専用端末に入力すると、自動的に厨房に注文内容が送られます。
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調理が終わって厨房の端末でボタンを押すとフロアの従業員に自動で通知され、スムーズに料理を運べます。
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金額計算済みの伝票がプリントアウトされ、お客様に渡されます。
最近ではお客様自身が注文するセルフオーダーシステムや、無人で行うセルフレジ、さらには配膳ロボットを導入するお店も増えていますよ。ここまで進むと、かなりの省力化や効率化が実現できます。
ステップ3:業務プロセス全体のデジタル化
ステップ2で部分的にデジタル化した業務を、事業所全体の業務プロセスとして連携させ、デジタル化を広げます。
<具体例:飲食店全体の業務連携の場合>
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レジシステムと会計システムを連携させ、売上が自動的に会計システムに反映されるようにする。これにより、従業員のレジ締め作業や残業を削減できます。
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電子決済に対応したレジを導入し、SuicaやPayPay、クレジットカード払いなど多様な決済方法に対応。軽減税率やインボイス制度にも自動で対応できるようになります。
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注文システムをデジタル化し、「出前館」や「Uber Eats」などの出前注文と店舗注文を一元管理。新たな収益源の確保にも繋がります。
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食材の在庫管理システムを導入し、需要予測システムと連動させることで、自動発注や従業員のシフト管理も効率化します。
このように、伝票のデジタル化を起点に、事業所全体の業務プロセスをデジタル化することで、生産性が格段に向上します。
ステップ4:余裕の活用
業務のデジタル化によって生まれた時間的な「余裕」を、次の「トランスフォーメーション」へと繋げることが重要です。単に人員を削減するのではなく、従業員にはITでは難しい創造的な業務に注力してもらいましょう。
例えば、Googleビジネスプロフィールへの登録、SNS(XやInstagram)の活用など、現在のビジネスの売上向上のためのマーケティングに力を入れることができます。お客様へ手紙を書いて、より品質の高い体験を創造するのも良いでしょう。
時間的な「余裕」を活かして、将来のビジネスモデル変革(トランスフォーメーション)の準備に、ヒト・モノ・カネを積極的に投資していき、ビジネスのクオリティを上げていきます。
ステップ5:トランスフォーメーション
最終段階である「トランスフォーメーション」では、売るもの、売り方、売る場所など、ビジネスの根幹を大きく変革します。
<具体例:街の食堂の変革の場合>
手書きの注文伝票のデジタル化から始まり、テイクアウトの充実、そしてレトルト製品や冷凍製品の開発・販売まで進んだとしましょう。これらが道の駅やスーパーマーケット、オンラインで買えるようになったら、もはや「街の食堂」の枠を超えた「トランスフォーメーション」の成功事例と言えるでしょう。
DX学校は「自走する組織」を育てるパートナーです
私たちDX学校広島中央おりづる校は、DXは決して一度に大きな変革を目指すものではないと考えています。
DXの5つのステップからもわかるように、大切なのは「小さなIT化」をコツコツと積み重ねていくこと。
これこそが、それぞれの会社に合った、最も効果的なDXを実現する手段だと信じています。
では、具体的にどのようにDXに取り組むのが良いのでしょうか?その答えはシンプルです。今いる社員が学び、自ら取り組むことです。
自社の強みも弱みも、そして日々の業務内容も最もよく理解しているのは、他でもない社員の皆さんです。
その社員がITを学び「小さなIT化」を実践していくことこそが、中小企業にとってのDXへの一番の近道となります。
社員が自ら学び、実践することで、会社の競争力が高まり、その会社ならではの変革が生まれます。ITの知識と知恵を身につけることで、業務改善や生産性向上のために何をすべきか、具体的な道筋が見えるようになるでしょう。
「2050年問題」と広島の未来
日本全体で深刻な課題となっているのが「2050年問題」です。2050年には、日本の生産年齢人口がピーク時の1995年から約4割も減少すると言われています。この人口減少の速度は、当初の想定以上に加速しているとも言われています。特に広島県は人口流出による転出超過が4年連続で全国最多となっており、全国で最も早く人手不足が深刻化する可能性があります。
このような人手不足時代を乗り越え、企業が持続的に成長していくためには、社内でITリテラシーを育むことが何よりも大切です。
広島には、素晴らしい中小企業がたくさんあります。もしIT知識の不足が原因で企業の成長を阻んでいるのだとしたら、それは本当にもったいないです。
社員一人ひとりがITの基礎を理解し、自ら課題を解決できる「自走する組織」となることが、中小企業の未来を切り拓く一番の手段だと、私たちDX学校広島中央おりづる校は強く信じています。
DX学校広島中央おりづる校で「わかる」「できる」を増やしませんか?
DX学校広島中央おりづる校では、難しい専門知識を一方的に押し付けることはありません。広い視野でITを学び、「わかる」と「できる」を増やすことを大切にしています。
未来をより豊かにするために、私たちと一緒に、今できることからデジタル化への第一歩を踏み出してみませんか?助成金活用も可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。