DXとは何か?中小企業経営者が押さえるべきデジタル変革の基本

「DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、最近よく聞く言葉だけど、具体的に何をすればいいのかわからない…」

中小企業の経営者の中には、このように感じている方も多いのではないでしょうか。

DXは、単なるITツールの導入ではなく、ビジネスモデルや業務プロセスを根本から変革し、企業の競争力を高めるための重要な取り組みです。

本記事では、中小企業の経営者の方々がDXを理解し、自社での導入を検討する上で役立つよう、以下の3つのポイントを中心に解説します。

 

  • DXの基本的な概念と重要性
  • DXがもたらす具体的なメリット
  • DXを成功させるための具体的なステップ

 

DXにご興味のある方はご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。

 

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?

まず、DXとは何か、その概要について説明します。

DXは、単なるデジタル化とは異なり、デジタル技術を活用してビジネスモデルや業務プロセスを根本から変革し、企業の競争力を高める取り組みです。

また、DXは、変化の激しい現代社会において、企業が持続的に成長するために不可欠な要素となっています。

以下の3つのポイントで、DXについて解説していきます。

 

  • DXの定義と基本的な意味
  • IT化、デジタイゼーション、デジタライゼーションとの違い
  • DXと従来のビジネスモデル改革との関連性

 

それぞれの項目について詳細を説明します。

 

DXの定義と基本的な意味

ここでは、DXの定義と基本的な意味について、詳しく説明していきます。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を駆使して、ビジネスや組織、そして社会全体をより良い方向に変革することです。

経済産業省の定義では、企業がデータとデジタル技術を活用し、顧客や社会のニーズに基づいた製品やサービス、ビジネスモデルの変革、さらには業務プロセスや企業文化の変革を通じて競争優位性を確立することとされています。

この変革は、単なる効率化やデジタル化に留まらず、ビジネスモデルそのものを変えることを目指すものであり、企業が市場で生き残るための重要な戦略となるでしょう。

DXは、2004年にスウェーデンの大学教授によって提唱された概念です。

当初は「ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という社会の変化を表す学術用語でしたが、現在ではビジネスシーンでのデジタル技術の採用が増えたことからビジネス用語として広く使われています。

 

IT化、デジタイゼーション、デジタライゼーションとの違い

ここでは、DXと混同されやすいIT化、デジタイゼーション、デジタライゼーションとの違いについて説明します。

IT化とは、既存の業務プロセスをデジタルツールで置き換えることで、例えば、紙の書類を電子ファイルにしたり、手作業での計算をソフトウェアで行ったりすることです。

一方、デジタイゼーションは、アナログデータをデジタルデータに変換することを指し、紙の情報をスキャンしてデジタル化するなどが該当します。

デジタライゼーションは、個別の業務プロセスにデジタル技術を活用することを意味し、製造ラインでロボットを導入して作業を自動化するなどがあげられます。

IT化、デジタイゼーション、デジタライゼーションなどのデジタル化は、業務効率の改善には役立ちますが、ビジネスモデルや組織全体の変革を目的とするDXとは異なり、DXを実現するための手段の一つです。

DXはデジタル化を土台として、さらにビジネスの仕組みを大きく変え、新たな価値を創り出すことを目指します。

 

DXと従来のビジネスモデル改革との関連性

ここでは、DXと従来のビジネスモデル改革との関連性について説明します。

DXは、単に業務を効率化するだけでなく、企業が顧客や社会のニーズに応じて、ビジネスモデルや提供する製品・サービスを根本から変革することです。

従来のビジネスモデル改革は、市場の変化や競争の激化に対応するために、製品ラインナップの見直しや価格戦略の変更など、既存の枠組み内での改善が中心でした。

しかし、DXは、デジタル技術を活用することで、これまで不可能だった新しいビジネスモデルやサービスを生み出すことを可能にします。

 

たとえば、実店舗での販売だけでなく、オンライン販売を強化したり、顧客データを活用してパーソナライズされたサービスを提供したりすることがあげられるでしょう。

また、DXは、企業文化や組織構造の変革も伴い、より柔軟で変化に対応できる組織づくりを強化します。

DXにより、企業は持続的な成長と競争力の強化を実現できるのです。

 

なぜ今、DXが必要とされているのか?

ここでは、現代においてDXがなぜこれほどまでに重要視されているのかについて解説します。

DXの必要性が高まっている背景には、従来のビジネス手法では対応しきれない外部環境の大きな変化があるからです。

具体的には、消費者の行動や価値観の多様化、競争の激化、デジタル技術の急速な進化、そして市場のグローバル化などがあげられます。

これらの変化に対応し、競争優位性を維持するためには、企業は従来のやり方を根本から見直し、デジタル技術を活用した変革を迫られているのです。

特に日本企業は、国際競争において遅れを取っている現状があり、DX推進による競争力強化が急務となっています。

 

DXが企業にもたらす具体的なメリット

ここでは、DXが企業にもたらす具体的なメリットについて、3つの視点から詳しく解説します。

DXを推進することで、業務効率化による生産性向上、新たなビジネスモデルの創出と収益拡大、顧客体験の向上と競争優位性の確立といった多岐にわたる効果が期待できます。

DXによるメリットは、企業の持続的な成長と市場での競争力強化に不可欠な要素であり、積極的にDXに取り組むことで、企業はより良い未来を築くことができます。

 

  • 業務効率化による生産性向上
  • 新たなビジネスモデルの創出と収益拡大
  • 顧客体験の向上と競争優位性の確立

 

以下にそれぞれの項目について詳細を説明します。

 

業務効率化による生産性向上

DXがもたらす具体的なメリットの1つ目は、業務効率化による生産性向上です。

DXを推進することにより、既存の業務プロセスをデジタル技術で効率化することが可能になります。

たとえば、これまで手作業で行っていたバックオフィス業務を自動化したり、製造プロセスにおけるデータの取得と分析によってボトルネックを特定し、改善したりすることができるのです。

DXにより、従業員はよりコアな業務に集中できるようになり、時間やコストの削減、そして生産性の向上が期待できるでしょう。

また、業務の標準化や自動化が進むことで、属人化による業務の偏りを解消し、組織全体の生産性を底上げすることにもつながります。

 

新たなビジネスモデルの創出と収益拡大

DXがもたらす具体的なメリットの2つ目は、新たなビジネスモデルの創出と収益拡大です。

DXは、既存のビジネスモデルをデジタル技術によって変革し、これまでになかった新たな価値を創造することを可能にします。

たとえば、顧客の購買履歴や行動パターンを分析し、個々の顧客に合わせたパーソナライズされた商品やサービスを提供したり、オンラインプラットフォームを通じて新たな顧客層を開拓したりできます。

顧客層の開拓により、新たな収益源の確保や売上増加に繋がり、企業の成長を大きく加速させることができるでしょう。

また、デジタル技術を活用することで、これまでにはない柔軟なビジネス展開が可能となり、市場の変化に迅速に対応できる強靭な企業体質を築くことができます。

 

顧客体験の向上と競争優位性の確立

DXがもたらす具体的なメリットの3つ目は、顧客体験の向上と競争優位性の確立です。

DXを推進することで、顧客との接点をデジタル化し、よりパーソナライズされた顧客体験を提供することができます。

たとえば、モバイルアプリを通じて商品の購入を容易にしたり、AIを活用して顧客からの問い合わせに迅速に対応したりすることで、顧客満足度を高めることができるでしょう。

また、顧客データを分析することで、顧客のニーズをより深く理解し、それに応じた商品やサービスを開発することで、他社との差別化を図り、競争優位性を確立することができます。

他者との差別化により、企業は顧客からの信頼と支持を得て、長期的な関係を築くことができるのです。

 

中小企業がDXを推進する上での課題

ここでは、中小企業がDXを推進する際に直面する具体的な課題について解説します。

DXは企業にとって競争力強化や業務効率化に不可欠である一方で、特に中小企業においては、その推進に様々な障壁が存在するのです。

人材不足、セキュリティ対策の遅れ、ITリテラシー不足などは、中小企業がDXを円滑に進める上で避けて通れない課題といえるでしょう。

課題を理解し、適切な対策を講じることが、中小企業がDXを成功させるための重要なステップとなります。

 

  • DXを担える人材の不足と育成の課題 
  • セキュリティ対策の遅れと情報漏洩リスク 
  • ITリテラシー不足によるシステム導入・活用の困難さ

 

以下に、中小企業がDXを推進する上での主な課題について詳細を説明します。

 

DXを担える人材の不足と育成の課題 

DXを推進する上での課題の1つ目は、DXを担える人材の不足と育成の課題です。

中小企業では、DXを推進するための専門的な知識やスキルを持つ人材が不足しており、その育成も容易ではありません。

特に、データ分析やAI、IoTなどの先端技術に関する知識を持つ人材は、採用市場でも需要が高く、中小企業にとっては確保が難しい状況です。

また、既存の従業員に対してDXに関する教育や研修を実施するにも、時間やコストの制約があり、十分な育成が進まないケースが多く見られます。

そのため、中小企業は、外部の専門家やコンサルタントの活用も視野に入れながら、自社に合った人材育成戦略を検討する必要があるでしょう。

 

セキュリティ対策の遅れと情報漏洩リスク 

DXを推進する上での課題の2つ目は、セキュリティ対策の遅れと情報漏洩リスクです。

デジタル技術の導入が進むにつれて、企業が扱うデータ量も増加し、サイバー攻撃や情報漏洩のリスクも高まります。

しかし、中小企業では、セキュリティ対策に対する意識や投資が十分ではないケースが多く、適切なセキュリティ対策が講じられていないことが課題といえるでしょう。

特に、クラウドサービスやIoTデバイスなどを利用する際には、より高度なセキュリティ対策が求められますが、中小企業ではその知識や技術を持つ人材が不足していることも少なくありません。

そのため、中小企業は、セキュリティ対策を強化するための専門的な支援を受けながら、情報漏洩のリスクを最小限に抑えるための体制を構築する必要があります。

 

ITリテラシー不足によるシステム導入・活用の困難さ

DXを推進する上での課題の3つ目は、ITリテラシー不足によるシステム導入・活用の困難さです。

中小企業では、経営層や従業員のITリテラシーが十分ではなく、新しいシステムやツールの導入や活用に苦労するケースが多く見られます。

たとえば、新しいシステムを導入しても、その機能を十分に使いこなせなかったり、業務プロセスとの連携がうまくいかなかったりすることもあるでしょう。

また、導入したシステムの運用や保守においても、専門的な知識が必要となるため、自社だけで対応することが難しい場合もあります。

そのため、中小企業は、ITリテラシーの向上を図るための教育や研修を実施するとともに、使いやすく、自社の業務に適したシステムを選択することが重要です。

 

DX推進を成功させるための具体的なステップ

ここでは、中小企業がDXを推進し、その効果を最大化するための具体的なステップについて解説します。

DXは、単にデジタル技術を導入するだけでなく、ビジネスモデルや業務プロセス全体を変革する取り組みです。

そのため、計画的なアプローチと組織全体での協力が不可欠となります。

 

ここでは、自社の現状分析から目標設定、戦略立案、人材育成、そして継続的な評価と改善という、DX推進を成功に導くための5つのステップを詳しく見ていきましょう。

 

  • ①自社の現状分析と課題の明確化 
  • ②明確な目標設定とビジョンの策定
  • ③DX戦略の立案と具体的な計画策定
  • ④必要な人材の確保と育成
  • ⑤計画の実行、評価、改善のサイクル

 

5つのステップを踏むことで、中小企業はより効果的にDXを推進し、競争力を高めることができるでしょう。

 

①自社の現状分析と課題の明確化 

DX推進を成功させるための最初のステップは、自社の現状を正確に分析し、具体的な課題を明確にすることです。

まず、自社のビジネスモデル、業務プロセス、ITシステムなどを詳細に把握し、現状の課題を洗い出す必要があります。

具体的には、業務効率の低い部分、コストがかかっている部分、顧客満足度が低い部分などを特定し、それらがなぜ発生しているのかを分析することが重要です。

この分析を通じて、DXによって解決すべき課題を明確にすることで、その後のステップをスムーズに進めることが可能になります。

また、この段階では、先入観にとらわれず、客観的な視点で現状を把握することが求められるでしょう。

 

②明確な目標設定とビジョンの策定

2つ目のステップは、DX推進によって達成したい明確な目標を設定し、将来のビジョンを策定することです。

目標設定では、単に「業務効率化」や「コスト削減」といった抽象的な目標ではなく、具体的な数値目標を設定することが重要といえます。

たとえば、「〇〇業務の作業時間を20%削減する」、「顧客満足度を10%向上させる」といった具体的な目標を設定することで、その後の活動を評価しやすくなるでしょう。

また、将来のビジョンを策定することで、組織全体が同じ方向に向かって進むことができ、DX推進に対するモチベーションも高めることができます。

このビジョンは、従業員全体で共有し、共感を得ることが大切です。

 

③DX戦略の立案と具体的な計画策定

3つ目のステップは、目標達成とビジョン実現のための具体的なDX戦略を立案し、計画を策定することです。

現状分析で明らかになった課題と、設定した目標・ビジョンに基づいて、どのようなデジタル技術やシステムを導入するのか、どのような業務プロセスを改革するのかを具体的に検討します。

また、DX戦略は、短期的な目標と長期的な目標の両方を考慮し、段階的に進めていく計画を立てる必要があるでしょう。

この計画では、具体的なスケジュール、担当者、必要な予算、KPI(重要業績評価指標)などを明確に定めることが重要です。

さらに、実現可能性を考慮し、無理のない計画を立てることが、DXを成功させるためのポイントとなります。

 

④必要な人材の確保と育成

4つ目のステップは、DX戦略を実行するために必要な人材を確保し、育成することです。

DXを推進するためには、ITスキルだけでなく、ビジネスの知識や変革を推進する能力も必要となります。

人材を確保する方法としては、外部から専門家を採用するだけでなく、既存の従業員を育成する方法もあります。

既存の従業員を育成する際には、研修やワークショップなどを活用し、必要なスキルを習得させることが重要です。

また、DXを推進するための専門部署やチームを設置することも効果的でしょう。

人材育成は一度だけでなく、継続的に行うことが、DXを成功させるためには不可欠です。

 

⑤計画の実行、評価、改善のサイクル

最後のステップは、策定した計画を実行し、その結果を評価し、改善を繰り返すサイクルを確立することです。

計画を実行する際には、プロジェクトの進捗状況を定期的に確認し、必要に応じて計画を修正する必要があります。

また、設定したKPIに基づいて、DXの効果を評価し、その結果を分析することで、改善点を見つけることができるでしょう。

この評価と改善のサイクルを継続的に回すことで、DXをより効果的に進めることができ、目標達成の可能性を高めることができます。

DXは一度で終わるものではなく、継続的な改善が必要となるでしょう。

 

中小企業におけるDX技術導入のポイント 

最後に、中小企業がDXを効果的に進めるための技術導入のポイントを解説します。

DXは、単に最新のITツールを導入することではなく、企業のビジネスモデルや業務プロセスを変革し、競争力を高めるための取り組みです。

特に、中小企業においては、限られた経営資源を最大限に活用し、持続的な成長を実現するために、戦略的な技術導入が不可欠となります。

中小企業がDX技術を導入する際に考慮すべき重要な側面のポイントを踏まえることで、中小企業はより効果的にDXを推進し、ビジネスの可能性を広げることができるでしょう。

 

まとめ

ここまでDX(デジタルトランスフォーメーション)についてご紹介しました。

要点を以下にまとめます。

 

  • DXは、デジタル技術を活用してビジネスモデルや業務プロセスを変革し、競争力を高める取り組みです。
  • DXを推進することで、業務効率化や新たなビジネスモデルの創出、顧客体験の向上など、多くのメリットが得られます。
  • DXを成功させるためには、自社の現状を分析し、明確な目標を設定した上で、段階的に進めることが重要です。

 

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

About the author

ITコーディネータ・IT導入診断士 伊東剛

株式会社文華堂 代表取締役、DX学校広島中央おりづる校代表。 ソフトウェア開発の経験を活かして文華堂と地域企業のDXを進めている。